春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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「好きな作品は?」という質問に対しては、彼女はもちろん『平家物語』と答えた。『平家物語』のどの部分がいちばん好きかと質問した記者がいた。彼女は好きな部分を暗唱した。長い暗唱が終わるまでにおおよそ五分かかった。そこに居合わせた全員が深く感心して、暗唱がおわったあとしばらく沈黙があった。ありがたいことに(というべきだろう)好きな音楽について質問した記者はいなかった。

「新人賞を受賞して、誰がいちばん喜んでくれましたか?」という質問に対しては、彼女は長い間をおいてから(その光景は天吾にも想像がついた)「それは秘密です」と答えた。

 新聞で読む限り、ふかえりはその質疑応答において、ひとつも嘘はついていなかった。彼女が口にしたことはすべて真実だった。新聞には彼女の写真が載っていた。写真で見るふかえりは、天吾が記憶しているより更に美しかった。実際に顔を合わせて話をしていると、顔以外の身体の動きや、表情の変化や、口にする言葉のほうについ注意が向かってしまうのだが、静止した写真で見ると、彼女がどれだけ整った顔立ちをした少女であるかということが、あらためて理解できた。記者会見の場で撮られたらしい小さな写真だったが(たしかにこの前と同じ夏物のセーターを着ている)、そこにはある種の輝きがうかがえた。たぶんそれは小松が「人並みじゃない空気」と呼んだのと同じものなのだろう。

 天吾は夕刊をたたんで片付け、台所に立って缶ビールを飲みながら、簡単な夕食を作った。自分の書き直した作品が満場一致で文芸誌の新人賞をとり、世間で評判になり、そしてこれからおそらくはベストセラーになろうとしている。そう思うと妙な気がした。素直によかったと喜びたい気持ちもあったし、同時に不安で、落ち着かなくもあった。予定していたこととはいえ、こんな風にものごとが簡単にすらすらと運んでしまっていいのだろうか?

 食事の用意をしているうちに、食欲がすっかり消えてしまっていることに気がついた。さっきまでは空腹だったはずなのに、今ではもう何も食べたくない。彼は作りかけた料理にラップをかけて冷蔵庫にしまい、台所の椅子に座り、壁のカレンダーを眺めながら、ただ黙ってビールを飲んだ。カレンダーは銀行でもらったもので、富士山の四季の写真をあしらっていた。天吾はまだ一度も富士山に登ったことはなかった。東京タワーに上ったこともない。どこかの高層ビルの屋上にあがったこともない。昔から高いところに興味が持てないのだ。どうしてだろうと天吾は思った。ずっと足元ばかり見て暮らしてきたせいかもしれない。

 小松の予言は的中した。ふかえりの『空気さなぎ』が掲載された文芸誌はほとんどその日のうちに売り切れ、書店から姿を消した。文芸誌が売り切れることはまずない。出版社は毎月、赤字を抱えながら文芸誌を出し続けている。そこに掲載された作品をまとめて単行本を作ることと、新人賞を受け皿にして若い新しい作家を拾い上げていくことが、その手の雑誌を出す目的なのだ。雑誌自体の売れ行きや収益はほとんど期待されていない。だから文芸誌がその日のうちに売り切れることは、沖縄に粉雪が舞うのと同じ程度に耳目を引くニュースになる。売り切れたところで赤字であることに変わりはないのだが。

 小松が電話をかけてきて、それを教えてくれた。

「けっこうなことだ」と彼は言った。「雑誌が売り切れれば、世間の人は余計にその作品に興味を持ち、どんなものだか読みたがる。そして印刷所は今しゃかりきで『空気さなぎ』の単行本を刷っているところだ。最優先、緊急出版だよ。こうなれば芥川賞なんか取っても取らなくても関係ない。それよりはホットなうちに本を売りまくるんだ。間違いなくこいつはベストセラーになる。俺が保証するよ。だから天吾くんも、今のうちに金の使い道を考えておいた方がいいぜ」

 土曜日の夕刊の文芸欄に『空気さなぎ』についての記事が載った。作品の掲載された雑誌があっという間に売り切れてしまったことが見出しになっていた。何人かの文芸評論家がその作品についての感想を述べていた。おしなべて好意的な意見だった。十七歳の少女が書いたとは思えない確かな筆力、鋭い感性、そして潤沢な想像力。その作品は新しい文学のスタイルの可能性を示唆している<���傍点>かもしれない</傍点>。一人の評論家は「あまりにも想像力が飛翔しすぎて、現実との接点を欠くきらいがなきにしもあらず」と論評していた。それが天吾の目にした唯一のネガティブな意見だった。しかしその評論家も「この少女がこれから先どのような作品を書いていくのか、まことに興味深い」と穏やかに結んでいた。どうやら風向きは今のところ悪くないようだ。

 ふかえりが電話をかけてきたのは、単行本の出版予定日の四日前だった。朝の九時だ。

「おきてた」と彼女は尋ねた。あいかわらず抑揚のないしゃべり方だ。疑問符もついていない。

「もちろん起きているよ」と天吾は言った。

「きょうのゴゴはあいている」

「四時からあとなら時間はあいている」

「あうことはできる」

「会うことはできる」と天吾は言った。

「まえのところでいい」とふかえりは尋ねた。

「いいよ」と天吾は言った。「四時にこの前と同じ新宿の喫茶店に行く。それから、新聞の写真はとてもよく写っていたよ。記者会見のときのやつ」

「おなじセーターをきた」と彼女は言った。

「よく似合っていた」と天吾は言った。

「ムネのかたちがすきだから」

「そうかもしれない。でもこの場合もっと大事なのは、それが人に好印象を与えるということなんだ」

 ふかえりは電話口でしばらく黙っていた。何かを手近の棚に載せてじつと眺めているような沈黙だった。好印象と胸のかたちの関係について、考えを巡らせているのかもしれない。それについて考えると、好印象と胸のかたちにどんな関係性があるのか、天吾にもだんだんわからなくなってきた。

「<���傍点>よじ</傍点>に」とふかえりは言った。そして電話を切った。

 四時少し前にいつもの喫茶店に入ったとき、ふかえりは既にそこで待っていた。ふかえりの隣には戎野先生が座っていた。淡いグレーの長袖シャツに、濃いグレーのズボンというかっこうだった。相変わらず彫像みたいに背筋がまっすぐ伸びている。天吾は先生の姿を見て少し驚いた。小松の話によれば、彼が「山を下りる」のはきわめて希だということだった。

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