春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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 長いあいだ二人はどちらも口をきかなかった。ふかえりは自分ひとりの謎めいた世界にこもり、天吾は静かに深呼吸をしながら気持ちを落ち着けていた。時折遠くに聞こえる鳥の声を別にすれば、部屋の中はどこまでも<���傍点>しん</傍点>としていた。耳を澄ませると、その静寂にはいくつかの意味あいが含まれているように天吾には感じられた。ただ物音ひとつしないというだけではない。沈黙自体が自らについて何かを語っているようだった。天吾は意味もなく腕時計に目をやった。顔を上げて窓の外の風景に目をやり、それからまた腕時計を眺めた。時間はほとんど経過していなかった。日曜日の朝は時間がゆっくりとしか進まないのだ。

 十分ばかりしてから、予告もなく唐突にドアが開き、一人の痩せた男がせわしない足取りで応接室に入ってきた。年齢はおそらく六十代半ばだろう。身長は一六〇センチほどだが、姿勢が良いせいで、貧相な感じはない。鉄の柱でも入れたみたいに背筋がまっすぐ伸びて、顎がぐいと後ろに引かれている。眉毛が豊かで、人を脅すためにつくられたような、太い真っ黒な縁の眼鏡をかけている。その人物の動きには、すべての部分が圧縮されてコンパクトに作られた精妙な機械を思わせるものがあった。余分なところが一切なく、あらゆる部位が有効にかみ合っている。天吾は立ち上がってあいさつしようとしたが、相手はそのまま座っているようにと手で素速く合図した。天吾がその指示に従って浮かせかけた腰を下ろすと、相手もそれと競争するように向かいの一人がけのソファにそそくさと座った。それからしばらくのあいだ、男は何も言わず天吾の顔をただ見つめた。鋭い眼光というのではないが、隅々まで怠りなく見通す目だった。目はときどき細くなり、また大きくなった。写真家がレンズの絞りを調整するときのように。

 男は白いシャツの上に深緑色のセーターを着て、濃いグレーのウールのズボンをはいていた。どれも十年くらいは日常的に身につけられてきた衣服のように見えた。身体によく馴染んではいるが、いささかくたびれている。おそらく着るものにあまり気を配らない人なのだろう。またおそらく、かわりに気を配ってくれる人もまわりにはいないのだろう。髪は薄くなって、おかげで前後に長い頭のかたちがより強調されていた。頬は削げ、顎の骨が角形にはっている。ふっくらとした子供のように小さな唇だけが、全体の印象に今ひとつ馴染んでいない。ところどころで髭が剃り残されていた。しかし光の加減でただそう見えるだけかもしれない。窓から入ってくる山地の陽光は、天吾が普段見慣れている陽光とは成り立ちがいくぶん違っているみたいだ。

「こんな遠方まで足を運ばせてしまって申し訳ありませんでした」、その男のしゃべり方には独特のめりはりがあった。不特定多数の前で話をすることを長く習慣としてきた人のしゃべり方だ。それもおそらくは論理だった話を。「事情があってここを離れることがなかなかかなわないので、わざわざお越しいただくしかなかった」

 そんなことはちっともかまわないと天吾は言った。そして名前を名乗った。名刺を持ち合わせていないことを詫びた。

「私はエビスノというものです」と相手は言った。「私も名刺を持ってない」

「エビスノさん」と天吾は聞き返した。

「みんなは先生と呼んでいる。実の娘でさえなぜか私のことを先生と呼ぶ」

「どんな字を書くのでしょう?」

「珍しい名前だ。たまにしか見かけない。エリ、字を書いてさしあげなさい」

 ふかえりは肯いて、手帳のようなものを取り出し、ボールペンを使って白紙のページにゆっくり時間をかけて「戎野」と書いた。釘を使ってレンガに刻んだような字だった。それなりの味わいがあると言えなくもない。

「英語でいえば甑①包Ohω鋤く90qΦωだ。私は昔は文化人類学をやっていたが、その学問にはいかにもふさわしい名前だった」と先生は言った。そしていくらか笑みに似たものを口もとに浮かべた。それでも目の怠りなさは少しも変わらない。「しかしずいぶん前に研究生活とは縁を切った。今ではそれとは関係ないことをやっている。違う種類のfield of savagesに移って生きている」

 たしかに珍しい名前だったが、天吾はその名前に聞き覚えがあった。一九六〇年代の後半に、たしかエビスノという名前の有名な学者がいた。何冊か本を出し、それは当時かなり評判にもなった。それがどんな内容の本だったか詳しいことは知らないが、名前だけは記憶の隅に残っている。しかしいつの間にか名前を聞かないようになってしまった。

「お名前をお聞きしたことはあると思います」と天吾は探りを入れるように言った。

「そうかもしれない」、先生はここにはいない他人のことを話すときのように、遠くを眺めながら言った。「いずれにせよ、大昔のことだ」

 天吾は隣りに座っているふかえりの静かな息づかいを感じることができた。ゆっくりとした深い呼吸だった。

「川奈{かわな}天吾くん」と先生は名札を読み上げるみたいに言った。

「そうです」と天吾は言った。

「君は大学で数学を専攻し、今は代々木の予備校で数学の講師をしている」と先生は言った。

「しかしその一方で小説を書いている。そういう話をとりあえずエリから聞いているが、それでよろしいかな?」

「そのとおりです」と天吾は言った。

「数学の教師にも見えないし、小説家にも見えないね」

 天吾は苦笑して言った。「ついこのあいだも、誰かに同じことを言われたばかりです。きっと図体のせいでしょう」

「悪い意味で言ったんじゃない」と先生は言った。そして黒い眼鏡のブリッジに指をやった。

「何かに見えないというのは決して悪いことじゃない。つまりまだ枠にはまっていないということだからね」

「そう言っていただくのは光栄ですが、僕はまだ小説家にはなっていません。小説を書こうと試みているだけです」

「試みている」

「つまりいろいろ試行錯誤をしているということです」

「なるほど」と先生は言った。そして部屋の冷ややかさに初めて気づいたように両手を軽くこすりあわせた。「そして私が聞き知ったところによれば、エリが書いた小説に君が手を入れて、より完成された作品にし、文芸誌の新人賞をとらせようとしている。この子を作家として世間に売り出そうとしている。そういう解釈でよろしいかな?」

 天吾は慎重に言葉を選んだ。「基本的にはおっしゃるとおりです。小松という編集者が立案しました。そんな計画が実際にうまく運ぶものかどうか、僕にはわかりません。それが道義的に正しいことなのかどうかも。この話の中で僕が関わっているのは、『空気さなぎ』という作品の文章を実際に書き直すという部分だけです。いわばただの技術者です。あとの部分についてはその小松という人物が責任を持っています」

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