春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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 日曜日には何があろうと、彼は父親とともに朝から夕方まで集金のルートをまわらなくてはならない。それは絶対的なルールで、そこには例外も変更の余地もなかった。風邪をひいて咳が止まらなくても、多少の熱があっても、お腹をこわしていても、父親はまず容赦してくれない。そんなとき、父親のあとをふらふらと歩きながら、このまま倒れて死んでしまえたらどんなにいいだろうとよく思った。そうすれば父親もおそらく少しは自分の行いを反省するだろう。子供にあまりにも厳しくしすぎたかもしれないと。しかし天吾は幸か不幸か、頑健な身体に生まれついていた。熱があっても、胃が痛んでも、吐き気がしても、倒れることも意識を失うこともなく、父親とともに長い集金ルートを歩き通した。泣きごとひとつ言わずに。

 天吾の父親は終戦の年に、満州から無一文で引き揚げてきた。東北の農家の三男に生まれ、同郷の仲間たちとともに満蒙開拓団に入り満州に渡った。満州は王道楽土で、土地は広く肥沃で、そこに行けば豊かな暮らしを送れるという政府の宣伝を鵜呑みにしたわけではない。王道楽土なんてものがどこにもないことくらい、最初からわかっていた。ただ彼らは貧しく、飢えていた。田舎に留まっていても餓死寸前の暮らししかできなかったし、世の中はひどい不景気で失業者が溢れていた。都会に出たところでまともな仕事が見つかるあてもない。となれば満州に渡るくらいしか生き延びる道はなかった。有事の際は銃をとれる開拓農民として基礎訓練を受け、満州の農業事情についてのまにあわせの知識を与えられ、万歳三唱に送られて故郷をあとにし、大連から汽車で満蒙国境近くに連れていかれた。そこで耕地と農具と小銃を与えられ、仲間たちとともに農業を営んだ。石ころだらけのやせた土地で、冬には何もかもが凍り付いた。食べるものがないので野犬まで食べた。それでも最初の数年は政府からの援助もあり、なんとかそこで生き延びることはできた。

 一九四五年八月、ようやく生活が落ちつきを見せ始めた頃、ソビエト軍が中立条約を破棄し、満州国に全面的に侵攻した。欧州戦線を終結させたソビエト軍は、大量の兵力をシベリア鉄道で極東に移動し、国境線を越えるための配備を着々と整えていた。父親はちょっとした縁で親しくなったある役人からそのような切迫した情勢をこっそり知らされ、ソビエト軍の侵攻を予期していた。弱体化した関東軍はとても持ちこたえられそうにないから、そうなったら身ひとつで逃げ出せるように準備をしておけと、その役人は彼に耳打ちしてくれた。逃げ足は速ければ速いほどいい、と。だからソ連軍が国境を破ったらしいというニュースを耳にするや否や、用意しておいた馬で駅に駆けつけ、大連に向かう最後から二番目の汽車に乗り込んだ。仲間のうちでその年のうちに無事に日本に帰り着けたのは彼一人だけだった。

 戦後、父親は東京に出て闇商売をしたり、大工の見習いをしたりしたが、どれももうひとつうまくはいかなかった。一人で食いつないでいくのがやっとだった。一九四七年の秋、浅草で酒屋の配達の仕事をしているときに、満州時代の知り合いとたまたま道で出会った。日ソ開戦が近いという情報を耳打ちしてくれた例の役人だ。彼は出向して、満州国の郵政にかかわっていたのだが、今では日本に戻って古巣の逓信省に勤務していた。同郷ということもあったのだろう、またタフな働き者であることを知っていたのだろう、彼は天吾の父親に対して好感を抱いていたらしく、食事に誘った。

 天吾の父親がまともな職を見つけられずに苦労していることを知って、NHKの集金の仕事をしてみる気はないかと、その役人は持ちかけた。その部署に親しい人間がいるから、口を利いてあげることはできる。そうしてもらえるとありがたいです、と父親は言った。NHKがどんなところかよく知らなかったが、定収入のある仕事ならなんでもよかった。役人が紹介状を書き、保証人にまでなってくれた。おかげで父親は簡単にNHKの集金人になることができた。講習を受け、制服を与えられ、ノルマを与えられた。人々はようやく敗戦のショックから立ち直り、困窮生活の中で娯楽を求めていた。ラジオが与えてくれる音楽や笑いやスポーツがもっとも身近で安価な娯楽となり、ラジオは戦前とは比べものにならないほど広く普及していった。NHKは聴取料を集めて回る現場の人間を大量に必要としていた。

 天吾の父親は職務をきわめて熱心に果たした。彼の強みは身体が丈夫なこと、我慢強いことだった。なにしろ生まれてこの方、腹一杯食事をしたことがろくにないのだ。そんな人間にとって、NHKの集金業務はさして辛い仕事ではなかった。どれほど激しく罵声を浴びせかけられても、そんなものは知れたことだ。そしてたとえ末端であるとはいえ、巨大な組織に自分が属していることに彼は大きな満足を感じた。出来高払いの、身分保障のない委託集金人として一年ばかり働いたが、成績と勤務態度が優秀だったので、そのままNHKの正規集金職員として採用された。それはNHKの慣例からすれば異例の抜擢だった。とりわけ集金難度の高い地域で優れた成績をあげたということもあるが、そこにはもちろん保証人である逓信省の役人の威光が働いていた。基本賃金が定められ、そこに諸手当がついた。社宅に入り、健康保険に加入することもできた。ほとんど使い捨てに近い一般の委託集金人の待遇とは雲泥の差がある。それは彼がその人生において巡り合った最大の幸運だった。何はともあれ、ようやくトーテムポールの最下段に位置を定めることができたわけだ。

 それが父親からいやというほど聞かされた話だった。父親は子守歌も歌わなかったし、枕元で童話を読んでもくれなかった。そのかわり自分がこれまで実際に体験してきたことを、繰り返し話して聞かせた。東北の貧しい小作農の家に生まれ、労働と殴打によって犬のように育てられ、開拓団の一員として満州に渡り、小便が途中で凍りつくような土地で、銃を取って馬賊や狼の群れを追い払いながら荒れ野を耕作し、ソビエトの戦車軍団から命からがら逃げ出し、シベリアの収容所に送られることもなく無事に帰国し、空きっ腹を抱えながら戦後のどさくさを生き延び、偶然の導きによって幸運にもNHKの正規集金人になるまでの話だ。NHKの集金人になるというのが、彼の物語における究極のハッピーエンドだった。そこで話はめでたしめでたしと終わった。

 父親はそういう話をするのがなかなか上手だった。どこまでが事実なのか確かめようもないが、一応話の筋は通っていた。そして含蓄があるとまでは言えないが、細部が生き生きして、語り口は色彩に富んでいた。愉快な話があり、しんみりした話があり、乱暴な話があった。唖然とするような途方もない話があり、何度聞いてもよく呑み込めない話があった。もし人生がエピソードの多彩さによって計れるものなら、彼の人生はそれなりに豊かなものだったと言えるかもしれない。

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