春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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 自分の引き受けた頼みをギリヤーク人はきちんとやってのける。これまで、ギリヤーク人が途中で郵便物を捨てたとか、他人の品物を使い込んだとかいう出来事は一度もない。彼らは勇敢で、呑み込みが早く、陽気で、親しみやすく、有力者や金持ちといっしょになっても、まったく気がねをしない。自分の上には一切の権力を認めないし、彼らのあいだには目上とか目下といった概念すらないかのようだ。よく言われもし、書かれてもいることだが、ギリヤーク人の間では、家長制度もまた尊ばれていない。父親は自分が息子より目上だとは思っていないし、息子の方も父親を一向にうやまわず、好き勝手な暮らしをしている。老母も洟{はな}たらしの小娘以上の権力を家庭内で持っているわけではない。ボシニャークが書いているところによると、息子が生みの母を蹴って家から叩きだし、しかもだれ一人あえて意見をしようとするものもいないという場面を、彼は一度ならず目にする機会があったようだ。一家族の中で、男性はみな同格である。もしギリヤーク人にウォトカをご馳走するとなったら、いちばん幼い男の子にもすすめなければいけない。

 一方家族中の女性は、祖母であれ、母親であれ、あるいは乳呑み児であれ、いずれも同じように権利を持たぬ人間であり、投げ捨てたり、売り飛ばしたり、犬のように足蹴にしてもかまわぬ、品物か家畜のように冷たく扱われている。ギリヤーク人は、犬を可愛がることはあっても、女性には絶対に甘い顔は見せない。結婚などは下らぬことで、早い話が酒盛りよりも重要ではないとされ、宗教的な、あるいは迷信的な行事は一切とりおこなわれない。ギリヤーク人は槍や、小舟、はては犬などと娘を交換し、自分の小舎にかつぎこんで、熊の毛皮の上でいっしょに寝る——それでおしまいだ。一夫多妻も認められているが、どう見ても女性の方が男性より多いにもかかわらず、広く普及するには到っていない。下等動物や品物に対するような女性蔑視は、ギリヤーク人たちの間では、奴隷制度さえ不都合と考えぬ段階にまで達している。彼らの間では明らかに、女性はタバコや綿布と同様、取引の対象となっているのである。スエーデンの作家ストリンドベリは、女性なぞは奴隷となって、男のむら気に奉仕すればそれでよいのだと望んでいる、有名な女嫌いだが、本質的にはギリヤーク人と同じ思想の持ち主なわけだ。彼が北部サハリンへやってくることがあれば、ギリヤーク人たちに抱擁されるに違いない。

 天吾はそこで一休みしたが、ふかえりは何も感想を言わず、ただ黙っていた。天吾は続けた。

 彼らのところには法廷などなく、裁判が何を意味するかも知らないでいる、彼らが今にいたるもなお、道路の使命を全く理解していないという一事からしても、彼らがわたしたちを理解するのがいかに困難か、わかるだろう。道路がすでに敷かれているところですら、あいかわらず密林を旅しているのだ。彼らが家族も犬も列を作って、道路のすぐそばのぬかるみを、やっとのことで通っていくのをよく見かける。

 ふかえりは目を閉じ、とても静かに呼吸をしていた。天吾はしばらく彼女の顔を見ていた。しかし彼女が眠っているのかどうか、天吾には判断できなかった。だから別のページを開いてそのまま朗読を続けることにした。もし眠っているのならその眠りを確実にしたいという気持ちもあったし、チェーホフの文章をもっと声に出して読んでみたいという思いもあった。

 ナイーバ河の河口には、以前ナイブーチ監視所があった。これの建設は一八六六年である。ミツーリがここに来た頃は、人の住む家や空き家を合わせて十八軒の建物と、小礼拝堂、食料品店があった。一八七一年に訪れたある記者の文章によると、ここには士官候補生の指揮下に二十人の兵士がいたようだ。ある小舎で、すらりとした美人の兵士の妻が、生みたての卵と黒パンをその記者に振舞い、ここの生活を賞めそやしたが、砂糖がべらぼうに高いことだけを愚痴っていた、という。今やそれらの小舎はあとかたもなく、あたりの荒涼たる風景を眺めていると、美人で背の高い兵士の妻など、何か神話のように思えてくる。ここでは今、新しい家を一軒建てているだけだ。見張り小舎か、宿場なのだろう。見るからに冷たそうな、濁った海が吠えたけり、丈余の白波が砂に砕けて、さながら絶望にとざされて『神よ、何のために我々を創ったのですか』とでも言いたげな風情だった。ここはもはや太平洋なのだ。このナイブーチの海岸では、建築現場に響く徒刑囚たちの斧の音が聞こえるが、はるか彼方に想像される対岸はアメリカなのである。左手には霧にとざされたサハリンの岬が望まれ、右手もまた岬だ……あたりには人影もなく、鳥一羽、蝿一匹見当たらぬ。こんなところで波はいったいだれのために吠えたけっているのか、だれがその声を夜毎にきくのか、波は何を求めているのか、さらにまた、私の去ったあと、波はだれのために吠えつづけるのだろうか——それすらわからなくなってくる。この海岸に立つと、思想ではなく、もの思いのとりこになる。そら恐ろしい、が同時に、限りなくここに立ちつくし、波の単調な動きを眺め、すさまじい吠え声をきいていたい気もしてくる。

 ふかえりはどうやら完全に眠りについたようだった。耳を澄ませると静かな寝息が聞こえた。天吾は本を閉じ、ベッドのわきにある小さなテーブルの上に置いた。そして立ち上がり、寝室の明かりを消した。最後にもう一度ふかえりの顔を見た。彼女は天井を仰ぎ、口をまっすぐに結んで、穏やかに眠っていた。天吾はドアを閉め、台所に戻った。

 しかし彼にはもう自分の文章を書くことができなくなっていた。チェーホフの描写した、サハリンの荒れ果てた海岸の風景が、彼の頭の中にしっかりと腰を据えていた。天吾はその波の音を耳にすることができた。目を閉じると、天吾は人気のないオホーツク海の波打ち際に一人で立ち、深いもの思いのとりこになっていた。チェーホフのやり場のない、憂欝な思いを共有することができた。その地の果てで彼が感じていたのは、圧倒的な無力感のようなものだったのだろう。十九世紀末にロシア人の作家であるというのは、おそらく逃げ場のない痛烈な宿命を背負い込むことと同義であったはずだ。彼らがロシアから逃れようとすればするほど、ロシアは彼らをその体内に呑み込んでいった。

 天吾はワインのグラスを水ですすぎ、洗面所で歯を磨いてから、台所の明かりを消し、ソファに横になって毛布を身体にかけ、眠ろうとした。耳の奥ではまだ大きな海鳴りが響いていた。しかしそれでもやがて意識は薄れ、彼は深い眠りの中に引き込まれていった。

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