春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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「おなかはすかない?」と天吾は尋ねた。アパートに帰る途中、二人は高円寺駅の近くの小さなレストランに入ってスパゲティーを食べた。たいした量ではないし、それからけっこう時間が経つ。「サンドイッチとか、そういう簡単なものなら作ってあげられるけど」

「おなかはすかない。それより、あなたがかいたものをよんでほしい」

「僕が今書いていたものを?」

「そう」

 天吾はボールペンを手にとり、指にはさんで回した。それは彼の大きな手の中でひどくちっぽけに見えた。「最後まで書き上げて、しっかり書き直してからじゃないと、原稿を人に見せないことにしているんだ。それがジンクスになっている」

「ジンクス」

「個人的な取り決めみたいなもの」

 ふかえりはしばらく天吾の顔を見ていた。それからパジャマの襟を合わせた。「じゃあ、なにかホンをよんで」

「本を読んでもらうと寝付ける?」

「そう」

「それで戎野先生によく本を読んでもらったんだね」

「センセイはいつもよあけまでおきているから」

「『平家物語』も先生に読んでもらったの?」

 ふかえりは首を振った。「それはテープできいた」

「それで記憶したんだ。でもずいぶん長いテープだっただろうな」

 ふかえりは両手でカセットテープを積み上げた嵩を示した。「とてもながい」

「記者会見ではどの部分を暗唱したんだろう?」

「ホウガンみやこおち」

「平氏を滅亡させたあと、源義経が頼朝に追われて京都を去るところだ。勝利を収めた一族の中で骨肉の争いが始まる」

「そう」

「ほかにはどんな部分を暗唱できるの?」

「ききたいところをいってみて」

 天吾は『平家物語』にどんなエピソードがあったか思い出してみた。なにしろ長い物語だし、エピソードは無数にある。「壇ノ浦の合戦」と天吾は適当に言った。

 ふかえりは二十秒ばかり黙って神経を集中していた。それから暗唱を始めた。

源氏のつはものども、すでに平家の舟に乗り移りければ

水手{すいしゅ}?梶取{かんどり}ども、射殺され、切り殺されて

舟をなほすに及ばず、舟底に倒{たは}れ臥しにけり。

新中納言知盛卿、小舟に乗ッて、御所の御舟に参り

「世の中は今はかうと見えてさうらふ。見苦しからんものども

みな海へ入れさせ給へ」とて、ともへに走りまはり、掃いたり、のこうたり

塵ひろひ、手つから掃除せられけり。

女房たち、「中納言どの、戦はいかにや、いかに」と口々に問ひ給へば

「めづらしき東男をこそ、ごらんぜられさうらはんずらめ」とて

からからと笑ひ給へば、「なんでうのただいまのたはぶれそや」とて

こゑごゑにをめき叫び給ひけり。

二位殿は、このありさまをご覧じて、日頃思しめしまうけたることなれば

鈍{にぶ}色のふたつぎぬうちかづき、ねりばかまのそば高くはさみ

神璽{しんし}をわきにはさみ、宝剣を腰にさし、主上{しゅしょう}をいだきたてまッて、

「我が身は女なりとも、かたきの手にはかかるまじ。

君の御ともに参るなり。おんこころざし思ひまゐらせ給はん人々は

急ぎ続き給へ」とて、舟ばたへ歩みいでられけり。

主上、今年は八歳にならせ給へども

御としのほどより、はるかにねびさせ給ひて

御かたちうつくしく、あたりも照り輝くばかりなり。

御{おん}ぐし黒うゆらゆらとして、御背中すぎさせ給へり。

あきれたる御さまにて、

「尼ぜ、われをばいつちへ具してゆかむとするぞ」とおほせければ

いとけなき君にむかひたてまつり、涙をおさへて申されけるは

「君はいまだしろしめされさぶらはずや。

先世{ぜんぜじ}の十善戒行{ゆうぜんかいぎょう}の御{おん}ちからによッて、

いま万乗{ばんじょう}のあるじと生{む}まれさせ給へども、悪縁にひかれて

御運すでに尽きさせ給ひぬ。

まづ東{ひんがし}にむかはせ給ひて

伊勢大神宮に御いとま申させ給ひ

そののち西方浄土の来迎{らいこう}にあつからむとおぼしめし、

西にむかはせ給ひて御念仏さぶらふべし。

この国は粟散辺地{そくさむへんじ}とて、こころうきさかひにてさぶらへば

極楽浄土とてめでたきところへ具しまゐらせさぶらふぞ」

となくなく申させ給ひければ、

山鳩色の御衣に、びんづらゆはせ給ひて

御涙におぼれ、ちいさく美しき御手をあはせ

まづ東をふしをがみ

伊勢大神宮に御いとま申させ給ひ

その後西にむかはせ給ひて、御念仏ありしかば

二位殿やがていだき奉り、「浪の下にも都のさぶらふぞ」と

なぐさめたてまッて、ちいろの底へぞ入給ふ。

 目を閉じて彼女の語る物語を聞いていると、まさに盲目の琵琶法師の語りに耳を傾けているような趣があった。『平家物語』がもともとは口承の叙事詩であったことに、天吾はあらためて気

つかされた。ふかえりの普段のしゃべり方は平板そのもので、アクセントやイントネーションがほとんど聞き取れないのだが、物語を語り始めると、その声は驚くほど力強く、また豊かにカラフルになった。まるで何かが彼女に乗り移ったようにさえ思えた。一一八五年に関門海峡で行われた壮絶な海上の合戦の有様が、そこに鮮やかに蘇った。平氏の敗北はもはや決定的になり、清盛の妻時子は幼い安徳天皇を抱いて入水する。女官たちも東国武士の手に落ちることをきらってそれに続く。知盛は悲痛な思いを押し隠し、冗談めかして女官たちに自害を促しているのだ。このままではあなた方は生き地獄を味わうことになる。ここで自ら命を絶った方がいい。

「もっとつづける」とふかえりが訊いた。

「いや、そのへんでいい。ありがとう」と天吾は呆然としたまま言った。

 新聞記者たちが言葉を失った気持ちは、天吾にもよくわかった。「しかし、どうやってそんなに長い文章が記憶できるんだろう」

「テープでなんどもきいた」

「テープで何度も聞いても、普通の人間にはとても覚えられない」と天吾は言った。

 それから彼はふと思った。この少女は本が読めないぶん、耳で聞き取ったことをそのまま記憶する能力が、人並み外れて発達しているのではないだろうか。サヴァン症候群の子供たちが、膨大な視覚情報を瞬時にそのまま記憶に取り込むことができるのと同じように。

「ホンをよんでほしい」とふかえりは言った。

「どんな本がいいのかな?」

「センセイとさっきはなしていたホンはある」とふかえりは尋ねた。「ビッグ?プラザのでてくるホン」

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