春樹 村上 - 1Q84

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1Q84: краткое содержание, описание и аннотация

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 その小説をどのように書き直していくか、明確なプランと呼べるようなものはなかった。個々の細部についてのアイデアがいくつかあるだけだ。書き直しのための一貫した方法や原則が用意されているわけではない。そもそも『空気さなぎ』のような幻想的で感覚的な小説を、論理的に書き直すことが可能なのか、天吾には確信がない。小松が言うように、文章に大幅に手を入れざるを得ないことは明らかだが、そうやってなおかつ、作品本来の雰囲気や資質を損なわずにおけるものだろうか。それは蝶に骨格を与えるのに等しいのではないのか。そんなことを考え出すと迷いが生じ、不安が高まった。しかしものごとは既に動き始めている。そして時間は限られている。腕組みをして考え込んでいる余裕はない。とにかく細かいところからひとつひとつ具体的に片づけていくしかあるまい。手作業で細部を処理しているうちに、全体像が自ずと浮かび上がってくるかもしれない。

 天吾くん、君にならできる。俺にはそれがわかるんだ、と小松は自信を持って断言した。そしてどうしてかはわからないが、天吾にはそんな小松の言葉をとりあえず丸ごと受け入れることができた。言動にかなり問題のある人物だし、基本的には自分のことしか考えていない。もしそうする必要が生じれば、天吾のことなどあっさり見捨てるに違いない。そして振り返りもしないだろう。しかし本人も言うように、彼の編集者としての勘には何か特別なものがあった。小松には常に迷いというものがない。何ごとであれ即座に判断し決定し、実行に移す。まわりの人間がなんと言おうと気にもかけない。優れた前線指揮官に必要とされる資質だ。そしてそれはどう見ても天吾には具わっていない資質だった。

 天吾が実際に書き直し作業を始めたのは、昼の十二時半だった。『空気さなぎ』の原稿の最初の数ページを切りの良いところまで、原文のままワードプロセッサーの画面にタイプした。ひとまずこのブロックを納得いくまで書き直してみょう。内容そのものには手を加えず、文章だけを徹底的に整えていく。マンションの部屋の改装と同じだ。基本的なストラクチャーはそのままにする。構造自体に問題はないのだから。水まわりの位置も変更しない。それ以外の交換可能なもの——床板や天井や壁や仕切り——を引きはがし、新しいものに置き替えていく。俺はすべてを一任された腕のいい大工なのだ、と天吾は自分に言い聞かせた。決まった設計図みたいなものはない。その場その場で、直感と経験を駆使して工夫していくしかない。

 一読して理解しにくい部分に説明を加え、文章の流れを見えやすくした。余計な部分や重複した表現は削り、言い足りないところを補った。ところどころで文章や文節の順番を入れ替える。形容詞や副詞はもともと極端に少ないから、少ないという特徴を尊重するとしても、それにしても何らかの形容的表現が必要だと感じれば、適切な言葉を選んで書き足す。ふかえりの文章は全体的には稚拙であったものの、良いところと悪いところがはっきりしていたから、取捨選択に思ったほど手間はかからなかった。稚拙だからわかりにくく、読みにくい部分があり、その一方で稚拙ではあるけれど、それ故にはっとさせられる新鮮な表現があった。前者は思い切りよく取り払って別のものに替え、後者はそのまま残せばいい。

 書き直し作業を進めながら天吾があらためて思ったのは、ふかえりは何も文学作品を残そうという気持ちでこの作品を書いたのではない、ということだった。彼女はただ自分の中にある物語を——彼女の言葉を借りれば彼女が実際に目にしたものを——<���傍点>とりあえず</傍点>言葉を使って記録しているだけだ。べつに言葉でなくてもよかったのだが、言葉以外に、それを表すための適切な表現手段が見つからなかった。それだけのことだ。だから文学的野心みたいなものは最初からない。できあがったものを商品にするつもりもないから、文章表現に細かく気を配る必要がない。部屋にたとえれば、壁があって屋根がついていて、雨風さえしのげればそれで十分という考え方だ。だから天吾が彼女の文章にどれだけ手を入れようが、ふかえりとしては気にならない。彼女の目的は既に達せられているわけだから。「すきになおしていい」と言ったのは、おそらくまったくの本心なのだ。

 にもかかわらず『空気さなぎ』を構成している文章は決して、自分一人がわかればいいというタイプの文章ではなかった。もし自分が目にしたものや、頭に浮かんだものを情報として記録するだけがふかえりの目的であれば、箇条書きのようなメモで用は足りたはずだ。面倒な手順を踏んでわざわざ読み物に仕立てる必要はない。それはどう見ても、<���傍点>ほかの誰か</傍点>が手にとって読むことを前提として書かれた文章だった。だからこそ『空気さなぎ』は文学作品とすることを目的として書かれていないにもかかわらず、そして文章が稚拙であるにもかかわらず、人の心に訴える力を身につけることができた。しかしその<���傍点>ほかの誰か</傍点>とはどうやら、近代文学が原則として念頭に置いている「不特定多数の読者」とは異なったものであるらしい。読んでいて、天吾にはそういう気がしてならなかった。

 じゃあ、いったいどのような種類の読者が想定されているのだろう?

 天吾にはもちろんわからない。

 天吾にわかるのは、『空気さなぎ』が大きな美質と大きな欠陥を背中合わせに具えた、きわめてユニークなフィクションであり、そこにはまた何かしら特殊な目的があるらしいということくらいだった。

 書き直しの結果、原稿量はおおよそ二倍半に膨らんだ。書きすぎているところよりは、書き足りないところの方が遥かに多いから、筋道立てて書き直せば、全体量はどうしても増える。なにしろ最初が<���傍点>すかすか</傍点>なのだ。文章が筋の通ったまともなものになり、視点が安定し、そのぶん読みやすくはなった。しかし全体の流れがどことなくもったりとしている。論理が表に出すぎて、最初の原稿の持っていた鋭い切れ味が弱められている。

 次におこなうのは、その膨らんだ原稿から「なくてもいいところ」を省く作業だ。余分な贅肉を片端からふるい落としていく。削る作業は付け加える作業よりはずっと簡単だ。その作業で文章量はおおよそ七割まで減った。一種の頭脳ゲームだ。増やせるだけ増やすための時間帯が設定され、その次に削れるだけ削るための時間帯が設定される。そのような作業を交互に執拗に続けているうちに、振幅はだんだん小さくなり、文章量は自然に落ち着くべきところに落ち着く。これ以上は増やせないし、これ以上は削れないという地点に到達する。エゴが削り取られ、余分な修飾が振い落とされ、見え透いた論理が奥の部屋に引き下がる。天吾はそういう作業が生来得意だった。生まれながらの技術者なのだ。餌を求めて空を舞う鳥の鋭い集中力を持ち、水を運搬するロバのごとく忍耐強く、どこまでもゲームのルールに忠実だった。

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